復興“特需”去り 不況追い打ち 自立の夢阻む 再失業の荒波

1997年11月14日

 夫が病に伏したため働きに来た女性。せっかく見つけた職場が倒産、再矢業した男性−。震災後やっと仕事を得たものの再び職を失う中高年被災者の再失業率が昨年に比べ大幅に増加していることが、神戸市内の労働組合のアンケート調査で分かった。同組合では県に失業者の雇用保障などを要望しているが、実態を裏付けるかのように、中高年の自立支援のための兵庫県「被災地しごと開発事業」ヘの登録者が増え続けている。復興関連事業の一巡や景気の低迷などがじわじわ影響しているという。震災からまもなく三年。しわ寄せを受ける被災者は苦しい生活状況を口々に語る。

 調査したのは、神戸市長田区の「被災地雇用と生活要求者組合」(長谷川正夫代表)。10月に同市内の被災者142人を対象に就労状況などについて調べた。

 それによると、自宅が全壊した73人のうち、震災以降、失業中は22人、30.1%で、再失業者は16人で21.9%。仮設住宅(28人)だけに限ってみるくさらに厳しく42.9%、25.0%。昨年の調査と比較するく失業率そのものは大きな差はないが、仮設住宅入居者の再失業率は10.3%から2.5倍に急増している。

 調査対象者の平均年齢は55.1歳で、就労していない理由は「仕事が無い」が48.6%でトップ。続いて本人の「健康」が41.7%に上った。

 被災地しごと開発事業は五ヵ年の計画で今年4月から始まり、すでにチラシ配りなど四事業が行われている。一ヵ月に10日ほど働くと3〜5万円がもらえる。現在、登録は約900人。すでに年間目標1,500人の半数を超えている。

 神戸市灘区の水道筋商店街。11月上旬から、被災者約60人が二人一組で通行量調査をした。45歳から60歳までを対象にした同事業の一つ。

 西宮市の仮設住宅で暮らす女性(58)は三年前に震災ストレスで夫が入院して仕事を辞めたため、初めて働きに出た。矢業保険があるが「先のことを考えると少しでも生活費の足しに」と話し「看病しながら働ける職湯はほとんど無い。野外の仕事はこれから寒くて厳しいだろう」と不安げだ。

 東灘区の仮設住宅で一人暮らしの男性(48)は、震災後に見つけて一年間働いた会杜が倒産した。「続けて働きたかった。一ヵ月間でもいいから働きたい」。仮設住宅から出た後、北区で住宅を購入した主婦(53)は「ローンを組んだため、夫の給料だけでは苦しい」と話した。

 全壊した自宅を再建したものの、昨年、勤め先の会社の人員整理で解雇された東灘区の男性(54)は「これまでずいぶん泣きました。ずっと家にいると世の中から取り残されるようで…。気分を変えたかった。ここに来れば同じような境遇の友達ができると思って」と思けのたけをぶつけた。

 再矢業の増加にっいて、同組合は「復興関連の公共事業が一巡した一方、不況が長引き、中小零細企業で倒産縮小するところが出始めた」と分析。今月からは同事業にも参加し、「健康を害した被災者も多く、失業は仮設住宅の孤独死を生み出す一因ともいえる。早急な対策を」と訴えている。

 これに対して、被災地しごと開発事業の担当者は「被災者同士の間で生活再建の格差が際立ってきた」と認識し、県労働政策課は「求人倍率も頭打ち傾向にあり、景気も低迷して矢業者には厳しい状況となっている。実態に見合った施策を今後も検討していきたい」としている。

(11月14日付け 神戸新聞朝刊)

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