1999年9月20日執筆

変わらない防災計画

 全国都道府県を対象にした朝日新聞社のアンケート(99年9月1日朝刊)で、阪神大震災の教訓を自由に三つ挙げてもらった。最も多かったのは「初動体制の確立」(自治体数32)、「迅速な情報の収集と伝達」(同25)、「自主防災組織の育成」など地域防災の強化(同17)となった。

 そのような反省から、各自治体は短時間で対策本部に駆け付ける要員の確保に力を注いで初動体制の強化を行い、最新の情報技術を活用したシステムの導入を進めて、災害情報の把握、伝達を確実なものにしようというわけである。

 しかし、阪神大震災での死因は倒壊した建物での圧死で、しかも即死状態だったので、これらの対策の効果はあまり期待できない。

 結局、今の防災計画にあるのは、行政では「情報の確保」「人材の確保」、民間では「消火器の普及」「防災訓練の徹底」などになる。いずれも阪神大震災以前からあるものばかりだ。

業界よりの行政

 阪神大震災以外の切り口から住宅政策が作られた。欠陥住宅に関する苦情が急増しているからだ。各地の消費生活センターに寄せられた苦情は、98年で、新築分譲マンションだけで年間約2,300件、建て売り一戸建ては約1,800件あり、この約10年で5倍に増えた。

 建設省は、こうした問題に対処するため、「住宅品質確保促進法案」を準備していた。建設業者に住宅の品質について一定の責任を持たせようというもので、「住宅版製造物責任(PL)」と呼ばれる考え方が基本となっていた。

法案は

  1. 床の傾きやひび割れなど、基準を超える欠陥が見つかった場合、構造部分に欠陥があると推定し、業者側に修理させる。
  2. 欠陥が見つかった場合、業者に自分たちに落ち度がなかったことを立証する責任を負わせる。
  3. 保証期間を10年とする。

などが柱となっていた。

 これまで被害者側に課せられていた欠陥原因の立証責任を転換しようという姿勢は高い評価を受けていた。消費者側にとって画期的な法律になるとの期待は大かった。しかし、住宅版「製造物責任(PL)制度」が盛り込まれることに対し、住宅メーカーや販売業者が猛反発し、導入見送りを建設省に求めた。

 結局、建設省が業者側の主張を受け入れ、住宅版のPL制度は撤回された。骨抜きになった法案が提出され、「住宅品質確保促進法」は、今年9月に衆院本会議で全会一致で可決、成立した。

 住宅に欠陥が見つかっても、これまで通り、消費者側が業者の落ち度を証明する責任を負うことになるわけで、消費者は専門知識がないために「泣き寝入り」することになる。日本政府は、国民の生命と財産を守ることよりも、業界団体の利益を優先させてしまったのだ。

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2005,7, 3
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