借上復興住宅問題 ポイント解説

建設省(当時)による制度欠陥と、神戸市による事前通知の怠り

 借上公営住宅制度は、平成8(1996)年に改正された公営住宅法により導入され、事前通知制度(2 5条2項※)と借上期間満了時の明渡義務規定(32条1項6号)が明記されました。法改正前に、それらの明 記がない「要綱」に基づき、借上復興住宅に入居した被災者は、借上期間満了時の明渡義務の説明 を受けずに入居しています。さらに神戸市は改正公営住宅法施行後も、2005年頃まで、一部の入居者 に対して事前通知を行なっていません。

 当時、民法の規定により、20年以上の建物賃貸借は不可能だったため、URと神戸市の間の契約 は20年とされました。これは更新可能なものだが、神戸市は「URに返還する」と、入居者に明渡しを迫って います。

※事前通知制度とは、借上期間満了時に転居しなければならないことを入居決定時に通知することです。

 

意に反する転居を迫られ、脅かされる高齢被災者の暮らし

 そもそも借上公営住宅制度は、入居者が「借上期間満了時の明渡義務」を承知したうえでその住 宅を選択し、入居することになっている。しかし神戸市は、明渡義務の説明がないまま「終の棲家」と 信じて借上復興住宅に入居することになった被災者を多く生み出しています。

 神戸市が借上復興住宅 からの追い出しを求めて訴訟を起こした後に、裁判中に逝去された入居者や、体調を崩してやむなく 転居した入居者も出てきています。60歳代から90歳代となった借上復興住宅の入居者らは、入居時と 異なり、難病の治療、歩行障がい、精神疾患などの事情を抱えながら、信頼できるかかりつけ医を確保し、居室内の家具の配置なども工夫して、転倒を極力避けながら、高齢でも生活しやすい居住空 間を形成しています。医師らは、「意に反する転居」は転倒や認知症、孤独死のリスクを高め、命を縮めて しまうと警鐘を鳴らしています。

 

被災自治体間における居住支援の格差

 神戸市は、入居者の生活状況を確認することもなく訴訟を起こし、追い出しを続けていますが、宝塚 市・伊丹市は、借上復興住宅入居者全員の継続入居を保障しています。兵庫県なども、入居者の生活 状況を確認し、借上復興住宅の継続入居を決定する等の対応を行なっています。

 このように、国が一次的に責任を負わない状況では、被災した時点で居住していた地域や、被災自 治体の知事・市長の判断によって、居住支援内容が大きく異なっています。その後広まった みなし仮設住宅(借り上げ式の仮設住宅)制度においても同様の格差が生じています。

 南海トラフ巨大地震が発生した場合、みなし仮設住宅や借上復興住宅が活用される可能性は高いです。 災害列島である我が国において、国が被災者に一律に保障する居住支援策を立法などで明らか にすることは急務です。

コロナ渦により規模を縮小しますが、2021年1月17日、追悼・連帯・抗議の集いを開催します。


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