結びにかえて

 冒頭の「調査の目的」でも述べたように、今回の「自力復興被災者の実態調査」は、震災発生から5ヵ年を経過した現在、被災住宅を自力で復興せざるを得なかった被災者とは、どんな被災者だったのか、彼らはどのように復興を成し遂げたのか、また、どんな課題を抱えての住宅復興となっているのか、行政側からの支援策として今何が求められているのか、そうした現状と問題点を明らかにしようとして実施されたものである。

 他方でこの調査は、仮設住宅に入居した被災者、復興公営住宅に入居した被災者の実態が比較的明らかにされてきたことに比べ、これまで余り明らかにされていない部分、すなわち「自力」復興被災者の実態に焦点を当てようとしたものである。「自力復興被災者」の実態、避難生活の状況および現況、住宅復興の状況を検証することが、仮設住宅以後の震災復興の課題を生活再建という側面から照らし出すのではないか、と考えたからである。

 しかし、この調査にはひとつの難題があった。「仮設住宅に入居した被災者」「復興公営住宅」に入居した被災者の実態が比較的明らかにされてきたことに比べ、「自力復興被災者」の実態が明らかにされなかったのには理由があるからである。それは、仮設住宅、復興住宅の被災者はそれぞれ仮設住宅群、復興住宅群ともいうべき形で、一定の集団を形成しており、そこを対象にして調査をかけることが可能であるから。同じように、「自力復興被災者」の中でも、区画整理地区、再建マンションなども困難ではあるが、把握可能である。

 それに対して、県外避難者、民間賃貸入居者、自宅再建や補修した被災者は点在しているため、その把握が非常に困難であった。それをクリアするために、「紙上調査法」―地元新聞社等の協力を得て、新聞紙上に自力復興に関する基礎的な調査項目を掲載し、読者にハガキやファックスで回答を寄せてもらう―という、特異な調査法をとることとなった。その意義を理解して下さり、調査表を掲載してくれたマスコミ各社、ならびに調査に協力してくれた被災者のみなさまに、この場を借りて改めて謝意を表するものである。

 本調査において住宅再建をなし得た被災者、まだ再建途上の被災者が、震災から5年を経て、その多くが実に未だに震災の影に色濃く縁取られた生活を余儀なくされていることが明らかになった。「調査ばかりして何になる!」、この5年間実態把握に行く度に、一再ならず投げかけられた言葉であった。実態を把握せずには行政と対峙できないから、行わねばならない調査ではあったが、しかし、当の被災者からすれば実質的救済策をもたらさない調査は所詮、「調査のための調査」であったのかもしれない。しかも、被災自治体たる当の行政はそのような実態把握をしようとしないのであるから、風当たりは時には一層強くなる。

 定量化され、標本化された被災者ではない生身の被災者に肉薄しながら(しかし、それに流されずに)生活再建としての震災復興を成し遂げて行くためにも、そして“伝えて欲しい"という被災者の想いに応えるためにも、寄せられた被災者の声にもう一度耳を傾けてみたい、そんな思いに駆られて、付録という形ですが「自力」復興被災者の声として添付させていただく。

 また、こういう被災者の声が、少しでも行政施策に反映されることを願って、本調査ならびにこれまでの当委員会の調査で明らかになった課題に対しては、本年1月17日付兵庫県知事宛申し入れ書として集約しましたので、同じく付録として添付するものである。

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2005,7, 3
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